KYOSUKE-YAMATABI〜山旅

日本の山を旅するブログ〜登山、温泉、車中泊

百名山登山 東北アルプス 花と雪渓の飯豊山

 


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2019年夏、軽キャンピングカーでの東北登山遠征。多くの百名山がある東北地方において、登山に数日かかるという規模の山はさほど多くありません。東北アルプスと言われる飯豊連峰、朝日連峰の大きな山脈は、歩行距離、標高差ともに日本アルプスに引けを取らない難易度の高い山が多く、東北の登山のハイライトです。住んでいる土地柄、北アルプス南アルプスの山々には多く足を運んでいますが、遠い東北の山々は憧れでした。今回、5日間かけて東北の百名山を登る登山を計画しました。第1のターゲットは、福島、山形、新潟の三県にまたがり、広大な山域を誇る飯豊連邦、その主峰、飯豊山。豊富な残雪とお花畑🌸で有名な名峰です。日本アルプスとはまた違う魅力を発見するべく、車を北へ走らせました。

 

今回の登山コースは次の通り(予定)←※後に理由がわかります。

1日目:御沢野営場ー三国岳ー飯豊山(飯豊本山小屋泊)

2日目:飯豊山ー御西岳ー大日岳(ピストン)ー飯豊山ー切合小屋(切合小屋泊)

3日目:切合小屋ー御沢野営場

 

第1の目的である百名山飯豊山(飯豊本山)に登り、その後、飯豊連峰の主稜線を縦走し、飯豊連峰の最高峰、大日岳を往復する登山コースを計画しました。

 

名古屋を夕方出発し、途中、上信越道妙高高原SAで車中泊。翌日新潟を経由して、麓の福島県喜多方を目指しました。途中、猪苗代湖会津磐梯山を眺めながら、名物喜多方ラーメンの名店を訪れたりと観光も楽しみつつ、登山口の川入集落にある御沢野営場を目指しました。

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磐越自動車道 磐梯山SAから見た会津磐梯山 百名山 いつか登ろう!

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喜多方ラーメン 源来軒

初めて来た飯豊山、登山口の川入集落、御沢野営場の標高は500mほど。なんか暑いですよ❗️🥵よく行く北アルプスなど登山口は標高1000mぐらいが多いですが、やはり山頂の標高が2000mほどの山だとこれぐらいですよね?僕の甘い考えで東北は緯度が高いからもう少し気温が低いと思ってました。そんなことないよね!同じ日本、北海道でもない限りさほど気温は変わらない❗️暑くて、窓全開、扇風機全開で車中泊するもあまり眠れない夜を過ごすことになりました。これはなんか悪い予感がかもです😭

 

早朝4時前に起床、暑さであまり眠れず、幸先の悪い登山スタートです。5時出発、他の登山者もすでに登山開始しています。僕も遅れるわけにはいきません。今日は一気に飯豊本山に登頂しなくてはいけません。山頂までのコースタイムは9時間あまり。標高差1500m、急登あり、アップダウンありの厳しい道のりです。

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登山をスタートすると、早速湿度100%だろ❗️と思わせる湿気に、薄暗い樹林帯の急登😭歩き出してすぐに汗💦が全身から吹き出します。これはキツい😭これが東北アルプスの洗礼なのか❓2泊分の食料で重いザックが・・・手強いぞ、この山🏔頭の中で色々なことを考えながらひたすら続く急登を登る。歩くたびにぽたぽたと汗が滴り落ちます。「根性で登る」まさにそんな感じだね。

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 長く続く原生林の中の尾根道を登って行きます。霧に包まれていた登山道も太陽の光が差し込むようになり、新緑の緑が眩しさを増していきます。立ち止まり、ふと見上げると美しいブナの原生林😃暑くて不快な登りが続いた中、初めて「東北の大自然」を感じました。綺麗な緑だな〜😃深呼吸すると、新緑の爽やかな匂いが心地いい😃

登山道が尾根道からトラバース道に変わりしばらく歩いて行くと、右側の崖の岩から水が湧き出ている場所に着きます。この水場が峰秀水か❓岩の割れ目から冷たい水がこんこんと湧き出ています。これは「神の水場」だ❗️冷たくてウマイ❗️この場所に、この水場❗️おそらく昔、信仰登山のために登った人達もこの水場に助けられたことでしょう。僕も帰路、リアルにこの水場に助けられることになります。

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峰秀水の水場で休憩を取りしばらく歩くと、地蔵山の分岐に到着します。飯豊トンネルからの登山道と合流します。周囲はまだ樹林帯。周りの景色は見えません。この分岐から先は三国岳へと続く尾根道となります。尾根道に入ると景色は一変します。剣ヶ峰という岩稜帯で、岩場のヤセ尾根の急登が三国岳まで続いています。ガスも切れてきて、飯豊の山々が姿を表しました。どこか荒々しく、緑も深く、北アルプスなどとはまた違ったワイルド感があるな〜😆

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それにしてもこの剣ヶ峰という場所。かなり険しい岩場です。先を歩いている登山者が岩にしがみついてトラバースしている姿を見て「えっ、これが飯豊山」と驚きました。鎖場、梯子場もあます。飯豊山の写真でよく見る穏やかで、雄大な稜線とは全然違う❗️そうか、あの写真は飯豊の主稜線の姿であり、支尾根は険しい岩場なんだ❗️これは手強い山、確定ですね。険しい岩場あり、アップダウあり、長大な尾根歩きあり。飯豊の登山が健脚向きと紹介される理由がわかりました。相変わらずの気温の高さと急登。どんどん体力が奪われていきます。

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まさに修行の山、時折3点支持で岩場を乗り越え、どんどん高度を上げていくと、突如目の前に山小屋らしき建物が姿を現しました。三国岳小屋です。同時にこの場所が三国岳のようです。多くの登山者が休憩をしていました。止めどなく流れる汗💦飯豊の洗礼😭

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三国岳小屋は避難小屋ですが、期間中(夏季)は管理人さんがいます。これから先にある、切合小屋、本山小屋も同様です。感じの良い管理人さんに一声かけてトイレをお借りしました(有料)小屋内も綺麗で、快適に宿泊できると思います。画像ににも映っていますが、トンボが異常な数で飛んでいました。これって飯豊では普通なのでしょうか❓見たことのない光景です。弥平四郎登山口からの道がこの場所で合流します。そちらから来た登山者から話を聞くと「こっちの道も凄いハードだった」とこと。やはり飯豊登山は簡単ではないようです。

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「三国岳」の三国とは福島県山形県新潟県の県境という意味もあります。しかしこの飯豊山の不思議なところ。有名な話だと思いますが、三国岳から飯豊山に伸びる登山道のある場所のみ「福島県喜多方市」に属しています。(正確には御西岳付近まで)登山道のあるところのみ❗️普通に考えれば登山道のある場所は、山形県新潟県の県境となります。なぜそんなことになったのか❓それは飯豊山が古来より信仰の山であり、その代表的な登路は今、僕が登ってきた、川入集落からの道。昔から飯豊山の信仰登山は福島県喜多方市からだった、ということから色々と議論があり、川入から飯豊山に向かう登山道のみ福島県に属する、ということになったらしいです。全国的にも珍しい県境の形になったということです(地図を見てみてください)なのでその登山道上にある、三国小屋、切合小屋、本山小屋は喜多方市の管理となっています。

三国岳からまずは飯豊山の麓的な場所にある切合小屋を目指します。ここからいくつかのピークを超えるアップダウンのキツい道となります。トンボの大群と相変わらず高い気温、東向きの登山道で日当たりが抜群❓で体力消耗のキツい歩行が続きます。しかしこのあたりから一気に花🌸が豊富になってきます。様々な高山植物が咲き乱れています。一服の清涼剤😭花の写真を撮りながら歩き続けました。

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(左)センジュガンピ           (右)ニッコウキスゲ

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(左)ヒメサユリ             (右)ハクサンシャクナゲ

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(左)マツムシソウ             (右)ショウジョウバカマ

 

小さなピークのアップダウンを繰り返し、徐々に標高を上げていきます。標高が高くなるつれて、谷筋には雪渓が姿を現します。ここは豪雪地帯、夏の時期にも多くの雪渓が残っています。緑と雪渓の白が作り出す景色が飯豊の山の特徴でもありますよね。大日杉小屋からのルートが合流すると切合小屋はすぐです。見上げると大きな雪渓が見えます。高山の景色となり、一気にテンションが上がってきました。

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切合小屋はこのあたりの山域では一番大きな小屋であり、予約すれば食事提供もあるようです。ここに泊まって飯豊山の登ることも考えましたが、その先の大日岳にも行く予定だったので、飯豊山山頂付近にある本山小屋を目指します。しかし、この後の展開で、実はこの小屋に泊まることが正解だったことがわかるのです(本日中に飯豊山に登頂して)

小屋前にある水場(ホースで水が引かれている)で水を補給し、山頂を目指します。

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(左)クルマユリ             (右)ヤマハハコ

 

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(左)ハクサンコザクラ          (右)チングルマ

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(左)ヨツバシオガマ           (右)ヒメシャジン

姥権現という地蔵様のある場所を過ぎると、最後の登り、御前坂となります。天気が良ければここから眼前に飯豊山の本峰が見えるはず。しかしどうしても山頂付近はガスに覆われていて見ることができません。同時に西側には雪渓のある大きな尾根があるのはわかるのですが、どうしても稜線のその先、大日岳方面もガスに包まれています。ちょっとガッカリ😭雄大な飯豊の山並みを見渡すことができません。御秘所という鎖場のある岩場を通過して、いよいよラストスパート❗️急登を一気に登ります。傾斜が緩くなり、広場のような場所に着きました。ここはテント場でしょうか❓⛺️強烈な風とガスにより周りの景色は全くありません。テント場から少し歩くと本山小屋に到着。着いた😭登山開始から8時間あまり。ふと思えばコースタイムより随分と早く到着しました。自分の足が速いのか❓いや、そんなにペースが良かったわけではない・・うーん🧐元々コースタイムの設定が緩かったように感じます。思ったより早く着いた印象ですが、体力的にはかなり消耗しました。疲れた・・・😭

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※霧雨と強風によりカメラの調子が悪く、端に黒い影が入っています。

とりあえず小屋の宿泊手続きを済ませます。小屋の中は狭く、ジメジメしています。色々と説明を受けます。食事、寝具はなく、素泊まりが原則。狭い室内で、調理スペースもない。ツアーの客の予約もあり、ほぼ満員になるとのこと。これは最悪。天気も暴風が吹き荒れる状態。不快感MAX間違いなしです。ここで迷いました・・・明日の天気も悪い予想、満員状態の避難小屋。山頂に登って、切合小屋に戻ろうか・・でも大日岳への縦走も諦め切れない・・

とりあえず荷物を置いて、最大の目的地、飯豊本山に登頂しよう❗️その先のことは後で考えよう。

飯豊山山頂へは小屋から20分ほど。すぐ近くという感じではないですが、平坦な尾根道❓(景色ゼロで、自分がどういう場所を歩いているのか全くわからない)を歩いていきます。道中、紫色の小さな花が・・これが飯豊山の固有種、イイデリンドウか❓この山旅の目的のひとつでもあったイイデリンドウ。よく見るリンドウとは花の形が違うという印象。菱形の花びらが特徴なのでしょうか。霧と強風の中、小さく咲くイイデリンドウにちょっと感動しました。😆ハイマツの覆う広い尾根をしばらく歩いていくと、山頂に到着しました。憧れの東北アルプス飯豊山の山頂制覇❗️周りの景色はゼロですが、ここまでの道のりの厳しさもあり達成感が半端ないです。良かった・・・東北の百名山に登ることができました。

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強風吹き荒ぶ中、小屋に戻り、とりあえずビール🍺で乾杯。美味しい・・ですが、小屋の中の人口密度がかなり増してきました。ツアーのグループが2つあり、小屋の中は蒸し蒸し状態😭百名山を登る登山ツアーってアルプスの山小屋でもよく会いますが、避難小屋にツアー客はちょっと驚きました。悪天候、満員の小屋・・登頂後下山して切合小屋に宿泊にしておけば翌日、早く登山口に下山できる。しかし時すでに遅し😭しょうがないです。今日は本山小屋に宿泊を決めました。意気消沈です。しかし小屋でお会いした登山者と山の話、特に百名山の話に花🌸が咲き、辛い小屋生活ながらも、意義のあるとても楽しい時間を過ごすことができました。同じ山を愛する者同士、こんなにすぐに打ち解けて話ができる素晴らしさ😆山っていいね👍

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深夜、強風で小屋が揺れているように感じて、満員状態なこともあり、眠れぬ夜を過ごすことになりました。日が昇り、周囲が明るくなるも、景色は昨日と同じ。真っ白は霧の中😭一瞬で大日岳への縦走は諦めました😭景色が見えなければこの先を歩いてもしょうがない。また次の機会の楽しみにしよう❗️そう言い聞かせて来た道を戻り、下山することにしました。御前坂を下る途中、この登山でもっともガスが晴れた瞬間、頂は見えませんでしたが、谷筋に雪渓の残る大きな稜線を見ることができました。飯豊連峰の奥深さ、魅力を感じる景色です。今度来る時は晴れたあの稜線を歩きたい❗️ぜひ再訪したい❗️そう思いました。

予定より1日早く下山して、今回の山旅は終了しました。北アルプスなどとはまた違う雰囲気を肌で感じることができました。東北アルプスの魅力満載に素晴らしい登山でした。次はもうひとつの東北アルプス朝日連峰がターゲットになることでしょう。

 

♨️おすすめ登山後温泉♨️

山都町温泉保養センターいいでのゆ

定休日:第二月曜日 営業時間:9:00〜21:00(4月〜10月)

御沢野営場の登山口から一番近い温泉施設。公共の入浴施設的な雰囲気の温泉。泉質はナトリウムー塩化物・硫酸塩泉。鉄分を含んだやや赤みがかった湯。もちろん掛け流しだと思います。さすが温泉大国、東北。何気にある温泉施設でも湯量豊富で個性のあるお湯が楽しめます。周囲の里山的景色にも癒されますね。設備的にも整っていて、ハードな飯豊山登山後の汗を流すことができます。登山後温泉におすすめです。

 

登山日:2019年7月